「医薬品」について登録販売者からのアドバイス
コラム
「整体・整骨の専門家として、患者さんを痛みから解放するために毎日頑張っている私ですが、「柔道整復師」としての国家資格だけでなく、「登録販売者」の資格も持っています。
登録販売者とは、一般用医薬品の中で第2類・第3類医薬品の販売ができる資格者のことで、一般用医薬品とは、いわゆるドラッグストアなどで販売されていて、医師の処方箋が無くても自由に購入できる医薬品のことです。
でも私は、
医薬品を販売したくてこの資格を取ったのではありません。
来院される患者さんの中でもあるのですが、薬で健康が得られるという間違った解釈をしている方が多いと感じています。
そのような方に、健康を維持したり、早く健康な身体を取り戻すためのアドバイスをするには、医薬品に関する知識を持った専門家としての資格が必要だと思ったから・・・です。
「セルフメディケーション」という言葉をご存知でしょうか。
WHO(世界保健機関)で次のように定義しています。
「自分自身の健康に責任をもち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」
この考え方は日本国内でも推進されています。
このことを示す分かりやすい一例を挙げると・・・「ビタミン含有保健剤」
かつては薬局・薬店でなければ購入できなかった「リポビタンD」が、今ではコンビニで購入できます。これは平成11年の薬事法改正で、それまで医薬品だった「リポビタンD」が医薬部外品に分類されるようになったからで、同様の医薬部外品は、外皮消毒剤・健胃清涼剤・薬用クリームなどの品目の中でたくさんあります。
一方、医薬品の中でも医師の処方を受けなければ手に入らなかった薬の中からも、ドラッグストアで処方箋なしで購入することができるようになったものがあります。
医薬品は、人体に及ぼす影響(効能・効果)を期待して使用するものですが、影響はプラスばかりではなくマイナス(副作用)もあることを忘れてはいけません。
できるだけ正しく理解して使用してほしいと思います。
【医薬品の分類】
医薬品を大別すると次の2種類に分けられます。
(1)医療用医薬品:医師の診断を基に処方箋により入手できます。
(2)一般用医薬品:ドラッグストアや薬店などで処方箋なしで入手できるもの、身体に対する影響度の強さ(効果および副作用)の程度により、次の3種類に区分されています。
●第1類医薬品 ●第2類医薬品 ●第3類医薬品
第1類医薬品は、薬剤師による情報提供(説明)及び販売が行われなければいけませんが、相談は登録販売者でも受けることができます。
第2類・第3類医薬品は、薬剤師と共に登録販売者でも情報提供と販売ができます。
【薬の働き】
ドラッグストアや薬店で、薬を買おうとする理由は・・・
熱が出た。 熱を下げたい、、、
咳が出て止まらない。咳を止めたい、、、
鼻水が出る。 鼻水を止めたい、、、
下痢が止まらない。 下痢を止めたい、、、
腰が痛い。 痛みを止めたい、、、
頭痛がする。 頭痛を止めたい、、、
等など
いま現れている症状や身体の反応を抑えたい(変えたい)からだと思います。
これらの症状が長く続くのはとてもつらいもので、何とか早く楽になりたいと思うのは当然のことですが、しかし、この症状が身体にとっては治るために起こる一つの反応だとしたら、それを薬で抑えてしまうことは正しいことでしょうか?
風邪を引いて熱が出るのは、体内に侵入したウィルスを撃退するための免疫機能にスイッチを入れるための正常な反応です。
発熱が起こらなければ、免疫機能が正常に働かないので、かえって風邪が長引いてしまいます。
咳が出るのは、のどの粘膜に細菌やウィルス、その他異物が侵入したためそれを咳の勢いで外部に排出しようとする反応です。この反応を止めれば、侵入物を外に出すことができません。
鼻水が出るのも、鼻の粘膜に細菌やウィルス、その他の異物が侵入したためそれを洗い流すための反応です。この反応を止めれば、それらの異物は鼻の粘膜から体内に侵入してしまいます。
下痢は、腸内に細菌やウィルス、毒物など身体に悪影響を及ぼすものが侵入した時、それを一気に体外に排出しようとする反応です。下痢を止めれば、侵入物は腸内にとどまったままです。
腰痛や頭痛の原因は様々ありますが、血行不良が原因で起こるこれらの痛みがあります。痛みを取りたいからと消炎鎮痛剤を使えば、この薬の性質上、血流は抑制されるために、さらなる血行不良をきたしてしまいます。こんな場合は入浴やカイロなどで温めることが大切です。
これらの注意点は、一般用医薬品に限ったことではありません。
医療用医薬品は、身体に及ぼす影響力が強く、抑制される正常な反応も一般用医薬品より広範囲に及びます。言い方を変えれば、副作用も強いということです。
「血圧が高い」 「血糖値が高い」 「コレステロール値が高い」などなど様々な理由から薬を飲んでいる人は多いのですが、薬の多くは化学的に作られた物質で、身体にとっては異物であり、本来なら身体に入ってきてほしくないものです。
漢方生薬のように自然界に存在するものから作られた薬もありますが、自然界に存在する物質だから副作用がないとはいえません。
薬が体内に入った場合、肝臓でその異物を分解しますが、分解しきれなかった量が血流に乗り、全身を巡り、目的の臓器に到達した時、目的の効果を現します。
ここで大切なことは、薬の成分は全身を巡っているという点で、不必要なところ(届いてほしくないところ)にも届いてしまい、不要な反応を引き起こさせる可能性があるということです。
症状が強くつらい時には、その症状の2~3割を軽減させる目的で薬を飲むのは、やむを得ないことだと思いますが、軽い症状でも簡単に薬を頼ったり、習慣的に服用を続けることは止めないといけませんね。
病院で処方される薬であっても、ドラッグストアで購入する医薬品であっても、薬の働き方から副作用までしっかり理解して使用してください。
ドラッグストアで買った風邪薬を飲んで亡くなったケースも報告されているのですから・・・
一つ間違えばとても重い症状に苦しめられたり、生活の質を落としてしまうような後遺症に悩まされるようになったり、場合によっては命を落とすことも・・・薬の服用でつらい思いをするのは、本人とその家族だけです。
病院で処方された薬によって何らかの問題が起こったとしても、医療は常にこのようなリスクを伴うもので、よほどの過失がない限り処方した医師に責任を問えないのです。