腕を挙げると胸に張り感、乳癌の再発かと心配されていましたが、、、
コラム
Aさん(70歳代の女性)のことです。
心配が解消できたきっかけは、腰と股関節に痛みがあるといって来院されたことからです。歩く時にズキッと感じる痛みで、うまく歩けないということでした。
腰には重だるい鈍い痛みを感じているということで、強い痛みは股関節にありました。しかし、股関節を屈曲しても外側に開いても、違和感はあるものの特に痛みを感じることはないとのことで、股関節やその周辺の筋肉を傷めているような状態ではありませんでした。
この方の腰や股関節の痛みは、腰椎(ようつい:背骨の腰の部分)のずれが原因だったのですが、この方が施術を受けている時に「実は・・・」と言って、ご自身の悩みを私に話してくれました。その時の会話は以下のような内容です。
Aさん:「実は、8年程前に乳がんが見つかり治療を受けました。治療で乳がんは治り、普通に生活してきていました。しかし最近になって、左腕を上に挙げようとすると胸に張り感があり、挙げにくさを感じるようになりました。胸には術後にできたしこりもあるのですが、触れてみるとちょっと大きくなっているのかなとというような気もして、乳がんが再発したのではないかと心配しているんです。」
私: 「治療は、切除術ですか?放射線治療ですか?」
Aさん:「放射線治療です。」
私: 「では、どの程度に挙げにくいと感じているのか、今ここで挙げてみてください。(実際に挙げてもらい)今、挙げにくさを感じていますか?」
Aさん:「はい、胸が突っ張って挙げにくいです。」
私: 「せぼねの背中の部分がずれても、胸に張り感を感じるようになることがあります。背中の部分も診せてまらいますね。」 ***胸椎(きょうつい:背骨の背中の部分)を診て、ずれている部分があったので矯正した上で***
私: 「もう一度、同じように挙げてみて下さい。・・・・挙げた感じに違いはありますか?」
Aさん:「あれ?今はあまり張り感がありませんね。」
私: 「では、もう少し矯正してみますね。」 ***再度、矯正をし***
私: 「もう一度、挙げてみて下さい。」
Aさん:「今は、張り感がありません。」
私: 「胸の張り感は、背骨のずれが原因でした。原因が判ってよかったですね。」
Aさんの胸の張り感は、2回の治療で全くなくなっていることが確認できています。もう、どのような動きでも張り感を感じることはないということです。
このようなケースは過去にもありました。B さん(50歳代女性)でしたが、腰痛で来院されました。Bさんは、乳がんの治療を受けて以後、定期的に検診を受けていて、再発していないけれど、その後遺症として、腕を挙上した時、胸に張り感があるため病気を忘れられず、不安感がずっと残っているとのことでした。
Bさんの場合も胸椎のずれを矯正してあげることで、胸の張り感は消えました。
この他にも何人か同じように、背骨の矯正を行うことで、乳がんの後遺症や再発の不安感から解放された方がいます。
「乳がんは治った」「再発はしていない」と医師から説明を受けているにもかかわらず、胸に張り感があることで、病気のことが頭をよぎったり、常に不安にさいなまれるのは辛いですね。
AさんBさんと同様に、乳がんとは関係の無い原因で症状が現れているのに、それが分らないからいつも後遺症や再発に対する不安感を感じている方に、不安解消に向けて少しでも力になってあげたいと思っています。
薬に頼らないで痛みの改善を図る柔道整復師だからこそ、してあげられることがあると自負しています。